環境にやさしい素材として注目されている「再生繊維セルロース」。
エコなファッションを意識している方や、サステナブル素材を取り入れたいと思っている方の中には、名前を聞いたことがある人も多いかもしれません。
たしかに再生繊維は肌ざわりが良く、自然由来という点でも魅力的ですが、実際に使ってみると「ちょっと扱いにくい」と感じることもある素材です。
今回は、再生繊維セルロースの代表的なデメリットを5つご紹介しつつ、賢く選んで使うコツも一緒にお届けします。
目次
再生繊維セルロースのデメリット:再生繊維セルロースとは
「再生繊維」とは
再生繊維とは、一度天然の素材を化学的に溶かしてから、もう一度繊維として再構成する「再生」タイプの繊維です。
主に使われる原料は、木材パルプや綿などに含まれるセルロースと呼ばれる植物由来の成分です。
これを特殊な薬品で溶かし、繊維として再び紡ぎ出します。
天然と化学の中間にある素材、というイメージです。
再生繊維とは、木材やパルプなどの天然のセルロース原料を溶解し、再生してつくられた繊維のこと。原料の違いから大きく「天然由来」と「化学由来」の2種類に分類されます。特に化学由来の場合は、使用後に廃棄される予定であったプラスチック製品、主にペットボトルが原料となっており、環境に配慮してつくられた繊維とも言えます。
代表的なセルロース系再生繊維
再生繊維にはいくつか種類がありますが、よく使われているのは以下の3つです。
- レーヨン(ビスコース):最も古くからある再生繊維。ツヤと柔らかさが特徴。
- モダール:レーヨンの一種で、より柔らかく、吸湿性にも優れている。
- リヨセル(テンセル™):比較的新しい素材で、環境負荷が少なく、耐久性も高め。
どれも自然な肌ざわりと落ち感のある上品な風合いがあり、下着やパジャマ、ワンピースなどによく使われます。
再生繊維セルロースの主なデメリット5選
再生繊維セルロースはやわらかく肌にやさしい反面、扱い方によっては不便に感じることもあります。
以下のポイントを押さえておけば、素材選びやお手入れの失敗を避けやすくなります。
1.水に弱く、濡れると強度が落ちる
再生繊維は、水分を含むことで繊維の結びつきが緩み、濡れた状態では非常にデリケートになります。
- 洗濯中に型崩れや縮みが起こりやすい
- 洗濯機ではなく「手洗い」や「洗濯ネット」の使用が推奨される
- 特にレーヨン素材は水に弱く注意が必要
そのため、日常的な取り扱いには少し気を遣う必要があります。
2.シワになりやすい
セルロース系の素材は柔らかくドレープ性がある反面、シワが目立ちやすいという欠点があります。
- たたみジワ・着用ジワができやすい
- アイロンがけが必要になるケースが多い
- 長時間座る・荷物に詰める場面では注意が必要
旅行や出張などでは、着る前に一手間かかることもあるかもしれません。
3.吸湿性が高すぎて乾きにくい
湿気をよく吸う=通気性が良いのはメリットでもありますが、洗濯後の乾きが遅い点には注意が必要です。
- 梅雨時や冬場は部屋干しで乾きにくい
- 生乾き臭の原因になりやすい
- 乾燥機対応かどうかは製品によって異なる
快適な着心地と引き換えに、洗濯後のケアにひと工夫が必要になります。
4.摩擦に弱く、毛羽立ちやすい
やわらかくてなめらかな質感ゆえに、摩擦に弱く、生地の劣化が起きやすいという特徴もあります。
- バッグやベルトとの擦れで毛羽立ちやすい
- 肘・膝など摩擦の多い部分が早く傷む
- 洗濯や着脱のときも優しく扱う必要がある
長く使いたい服ほど、丁寧なお手入れと着用回数の工夫が求められます。
5.加工や染色にコストがかかる場合も
再生繊維の中でも特にリヨセル(テンセル™)は、環境にやさしい製造方法を採用している分、価格帯が高めになる傾向があります。
- 製造工程が複雑でコストがかかる
- 安価な製品は他素材との混紡が多い
- 価格と機能のバランスを見極める必要あり
環境意識が高くても、毎日の服としてコスパを重視したい方にはややハードルが高めに感じることもあります。
まとめ:デメリットを知り再生繊維セルロースを賢く取り入れる
再生繊維セルロースは、自然由来のやさしい素材でありながら、環境への配慮もされた魅力的な繊維です。
その一方で、今回ご紹介したように
- 水や摩擦に弱い
- シワになりやすい
- 乾きにくく、やや手間がかかる
- コストがやや高めな傾向がある
といった扱いに注意が必要なデメリットもあります。
ただし、これらをしっかり理解した上で選べば「着心地が良くて環境にもやさしい」そんな素材として、日常生活にうまく取り入れることができます。
特に最近は、セルロース系再生繊維と他素材の混紡アイテムも増えていて、お手入れしやすく、価格も手ごろな商品が選びやすくなっています。
素材を知ることは、自分に合った暮らしを選ぶこと。
ぜひ今回の内容を参考に、再生繊維との上手な付き合い方を見つけてみてください。