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豚ぷん堆肥のデメリットとは?安全に使うための注意点と対策

家庭菜園や農業の場面で「堆肥」といえば、鶏ふんや牛ふんが定番ですが、近年じわじわと注目されているのが豚ぷん堆肥

栄養豊富で土壌改良効果も高く、再資源化の面でも注目されています。

しかしその一方で、「においがきつい」「塩分が高そう」といった不安の声もちらほら。

本記事では、豚ぷん堆肥のデメリットやその理由、そして安全に使うためのコツを詳しく解説します。

豚ぷん堆肥の基本情報

豚ぷん堆肥とは何か

豚ぷん堆肥とは、豚の排泄物を発酵・熟成させて作られる有機質肥料です。

発酵には木くずや籾殻などの副資材が使われ、微生物の働きで時間をかけて堆肥化されます。

その結果、植物の生育を促す成分を多く含んだ、栄養価の高い肥料として利用されるのです。

他の動物性堆肥(鶏ふん、牛ふん、馬ふん)との比較

項目鶏ふん堆肥牛ふん堆肥馬ふん堆肥豚ぷん堆肥
成分窒素・リンが多め繊維質多く土壌改良向き軽くて水はけが良い窒素・カリ多め
におい強め比較的穏やか穏やかやや強め
塩分濃度高め低め中程度やや高め
使用のしやすさ発酵処理必須熟成品ならOK扱いやすい熟成度に注意が必要

豚ぷん堆肥は、栄養は豊富だが、使い方を間違えるとトラブルにつながるリスクもあるという、ちょっとクセのある存在なんですね。

堆肥とは、有機物を積み置いて、微生物の働きで分解させたもののことです。

出典:マイナビ農業>いまさら聞けない堆肥のキホン。肥料との違いは? 種類ごとの作り方・使い方なども解説

豚ぷん堆肥の主なデメリットとその理由

塩分濃度が高い

豚ぷん堆肥はカリウムやナトリウムなどの塩類を多く含む傾向があります。

そのため、施用後に灌水(たっぷりの水やり)を行わないと、土壌中に塩類が蓄積しやすくなります。

塩類集積の影響とは?

  • 土壌中の浸透圧が上がり、植物の根が水を吸いづらくなる
  • 作物が萎れたり、枯れたりすることがある
  • 微生物の活動が低下して土壌の質が悪化

重金属(銅・亜鉛)の蓄積リスク

豚の飼料には健康維持の目的で銅や亜鉛などの微量元素が添加されていることが多く、それが排泄物を通じて堆肥中にも含まれます。

長期使用のリスク

  • 銅や亜鉛が土壌中に蓄積
  • 野菜などの作物に吸収され、人体への影響の懸念
  • 微生物のバランスが崩れ、土壌環境が悪化

安全のためには、連用は避けるローテーションで堆肥を変えるなどの工夫が必要です。

未熟堆肥による障害

未熟な豚ぷん堆肥は、アンモニア臭や有害ガス(二酸化炭素、一酸化炭素など)を発生することがあり、作物に大きなダメージを与えることがあります。

よくある障害

  • 作物の根が焼ける
  • 発芽しない、成長しない
  • 悪臭が漂い、近所迷惑に…

特に家庭菜園では、熟成度の高い「完熟堆肥」を選ぶことが重要です。

3.4 肥料効果の持続性が短い

豚ぷん堆肥は即効性があり元肥には適しますが、栄養の持続性がやや短めです。

対応のポイント

  • 元肥だけに頼らず、追肥との併用が必要
  • 作物の成長ステージに応じたタイミングの見極めがカギ
  • 肥料設計の柔軟性が求められる

安全に使用するための対策とポイント

完熟堆肥の選び方

市販品の中には、まだ完全に発酵していない「未熟堆肥」も混在しています。

選ぶときのチェックポイント

  • 製品ラベルに「完熟」や「熟成」などの記載があるか
  • メーカーの堆肥製造工程や熟成期間の情報が確認できるか
  • においが強すぎない、色が均一でサラサラしているか

適切な施用量と頻度

いくら良い堆肥でも、入れすぎは逆効果

基本的な目安(10㎡あたり)

  • 豚ぷん堆肥:約2〜3kg
  • 土壌の状態により調整が必要

また、土壌分析(pH・EC値など)を定期的に行い、施肥設計を見直すと、より安心して使えます。

他の堆肥や資材との併用

豚ぷん堆肥の特徴を補うには、他の堆肥とのブレンドがおすすめ。

  • 腐葉土やバーク堆肥で塩分やガスのリスクを軽減
  • **微生物資材(乳酸菌、放線菌など)**の投入で分解を促進
  • 籾殻燻炭などと併用し、通気性や排水性を改善

豚ぷん堆肥の活用事例と成功のポイント

家庭菜園での実例

ある家庭菜園ユーザーは、毎年トマトとナスの栽培に豚ぷん堆肥を使っています。

完熟堆肥を使用し、施肥後はすぐにたっぷりと水を与えることで、塩類集積も防止。

さらに、バーク堆肥と混ぜて使うことで、においの軽減や肥料効果の安定にもつながったそうです。

成功のカギ

  • 完熟品の使用
  • 施肥量の調整
  • 他資材との併用

これらを守ることで、「クセのある堆肥」も「使いこなせる堆肥」に変わります!

まとめ

豚ぷん堆肥は、栄養価が高く、環境にもやさしい有機資材ですが、塩分や重金属、熟成度の問題など注意点も多いのが現実です。

安全に効果的に使うためには、

  • 完熟堆肥を選ぶ
  • 適切な量とタイミングで施用する
  • 他の資材とバランスよく併用する

といったポイントを押さえることが大切です。

あなたも、豚ぷん堆肥を正しく使いこなして、健やかでおいしい野菜づくりを楽しんでくださいね!

  • この記事を書いた人

ウェルビー

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